VOICE

Vol.5

2021年8月

代表田崎インタビュー

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Vol.05 農業をしていて
よかったと
感じて
いただけるよう、
今後とも事業を
推進していきます。
カルビーポテト株式会社
代表取締役社長田崎一也

1967年、宮城県仙台市生まれ。1991年、カルビー株式会社入社。以来、営業畑を歩き、各地域の支店長、営業本部長、常務執行役員を歴任。2021年4月1日付けでカルビーポテト株式会社代表取締役社長に就任。好きなカルビー製品のベスト3は、①ポテトチップス「うすしお味」、②じゃがりこ「サラダ」、③堅あげポテト「うすしお味」。

Vol.05

1967年、宮城県仙台市生まれ。1991年、カルビー株式会社入社。以来、営業畑を歩き、各地域の支店長、営業本部長、常務執行役員を歴任。2021年4月1日付けでカルビーポテト株式会社代表取締役社長に就任。好きなカルビー製品のベスト3は、①ポテトチップス「うすしお味」、②じゃがりこ「サラダ」、③堅あげポテト「うすしお味」。

2021年8月に書かれた記事です。(一部編集)

社長就任に至るまでの経歴からお願いします。

2021年4月1日付けで代表取締役社長に就任しました。カルビー株式会社常務執行役員との兼任になります。
カルビーには24歳で中途入社しました。以来、営業畑を歩き、各地域の支店長を経て、営業本部長、常務執行役員に任命されます。
30年ほど営業の側面からかかわってきましたが、契約産地より供給される高品質な馬鈴薯を原料にした製品は、小売業やその先のお客様からの信頼が絶大でした。生の声を聞いてもデータを見ても明らかです。
営業についてはある程度達成感があった一方、次第に原料に関心を寄せていた折に今回のカルビーポテト社長への打診を受けました。まさに願ったり叶ったりでした。

就任から数カ月が経ちましたが、これまでどんな行動をしてきたんでしょうか。

北海道から九州、関東、東北と各契約産地を訪問し、課題を聞き取ってきました。カルビー時代も収穫時に足を運んでいましたが、それは同伴の小売業の担当者のためであり、機会も時間も限られていたのが実情です。今回、じっくりと面談することで、原料が年間供給されるのを当たり前と思わず、多くの努力によって製品が販売できているんだと実感しました。
そのなかで、農業従事者の高齢化や労働人口の減少に伴って機械が効率的に利用されているものと認識していたんですが、実態は少々違いました。契約産地は想像以上に悩んでいます。カルビーポテトは、馬鈴薯を仕入れるだけではなく、国内農業を良くする視点から諸問題に真摯に向き合って一緒に解決していくことが大切です。

投資に関してはどう考えているんでしょうか。

民間企業ですから、すべてに投資することは難しいです。ただ、投資しなければ見返りはありません。契約産地との信頼関係の下に必要なものには投資していきます。いずれにしても、国内農業を良くすることが前提です。

田崎社長は営業出身ということで、産地訪問ではそのあたりの着想もあったんではないでしょうか。

そうですね。気づいたのは馬鈴薯はもちろん、それ以外の農作物の可能性です。馬鈴薯も輪作の一部でしかなく、それだけが良くなる世界はありません。他作物も購入できれば、契約産地側にとってプラスアルファの収入に結びつきます。ここに踏み込んでいかないと結果的に馬鈴薯自体の生産量も増やしていただけないことになります。
その意味で私の使命は、馬鈴薯をはじめとする農作物全般からお客様に支持される製品を世に出すことです。

横道にそれますが、新型コロナウイルス感染症による巣ごもり需要でポテトチップスの売れ行きは好調だそうですね。

はい、そうです。コロナ禍に限らず、家で過ごさなければならない場面では、無意識のうちに買い置きしておく食品がいくつかあったりするものですが、そのなかにポテトチップスも含まれる傾向にあります。こんな時期だからこそ家族や個人でほっとした気持ちになれる製品の一つとして認知されているんでしょう。ごちそうではなく、毎日でも食べられるような飽きの来ない味わいもポイントですね。世の中のためになっていると強く思います。

世の中のためということでは、品種登録に向けて開発中だった打撲に強い品種の取り下げがカルビーグループ内で数年前にありました。契約産地で打撲が問題となっていることは重々承知しています。しかし、打撲に強くてもおいしくなければ、結局は世の中のためになりません。食感が良くないというのが現行品種と同様の製法に固執してのことであればそれは開発側の手落ちです。その取り下げ品種を含め製品化の道をあらゆる角度から継続的に模索しています。ポテトチップスだけではなく、「じゃがりこ」用としてものちに用途を広げた「オホーツクチップ」はその好例でしょう。加工技術の向上で馬鈴薯の全量購入をさらに拡大し、全部使いこなせるよう取り組んでいくことも念頭に置いています。

品種絡みですとカルビーグループは2030 年にジャガイモシストセンチュウ抵抗性品種に100%切り替えるという目標を掲げました。

そうです。目標のための目標であってはなりません。決めたからには責任を持ってやり遂げます。
この問題の重大さはカルビーポテトに移ってきて日が浅い私でもわかります。契約産地にとって土の劣化は死活問題です。抵抗性品種への転換は予定どおり進めていきます。

契約産地にメッセージをお願いします。

私は、カルビーにも籍を置いていますが、片手間で仕事するつもりはありません。農業のことはまだまだ素人ですので、これからも同時並行で勉強していきます。
各契約産地には一歩一歩前進していきましょうと話しています。不可能だと思われていることを可能に変えることが仕事ですし、そのための支援を通して我々カルビーポテトは一緒に実現していきます。
カルビーグループは国産馬鈴薯の約17%を使用していますが、それが偉いわけでもなんでもありません。みなさまに支えられて私たちが存在します。馬鈴薯を作っていてよかった、農業をしていてよかったと感じていただけるよう、今後とも事業を推進していきます。



「カルビーとカルビーポテトにはそれぞれ役割がありますので、お互いの領域に踏み込みすぎるのも問題でしょうが、カルビー側は全社的にもう少し日常的に生産現場のことに触れることが必要だと感じます。自分たちがいる世界を認識するうえで、産地訪問を行なう人も機会も増やさなければならないと思います」

ポテカル No.136 2021年8月

発行:株式会社農業技術通信社新規ウィンドウで開きます