VOICE

Vol.2

2018年5月

代表中村が想うカルビーポテト

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Vol.02 カルビーポテトは
世界一の契約生産者と
世界一のポテトカンパニーを
目指す
カルビーポテト株式会社
代表取締役社長中村一浩

1960 年、北海道増毛町生まれ。84 年、カルビーポテト株式会社入社。執行役員営業本部長、同経営推進本部長、カルビー株式会社北海道事業本部長を経て、2016年6月に現職へ就任する。

Vol.02

1960 年、北海道増毛町生まれ。84 年、カルビーポテト株式会社入社。執行役員営業本部長、同経営推進本部長、カルビー株式会社北海道事業本部長を経て、2016年6月に現職へ就任する。

ポテカル新規ウィンドウで開きます2016年10月号に書かれた記事です。(一部編集)

まずは現在に至るまでの経歴からお願いします。

1984年の入社1年目に北海道の十勝でフィールドマンとして働いた後、十勝馬鈴薯研究所(現・馬鈴薯研究所)の開設と同時に配属されて7年間、主に新品種開発に従事しました。それから「じゃがりこ」の開発と研究でカルビーの下妻工場に常駐し、95年に発売を迎えると、翌96年にはカルビーポテトに戻って帯広工場の立ち上げに携わります。97年の完成を経て、03年までは工場で製造課長としてじゃがりこの製造責任者を務めました。その後は3、4年刻みで、商品開発、産地業務支援、営業担当役員、総務・財務担当役員、カルビーの北海道事業本部長を経験し、今年になって社長に就任したという流れです。

フィールドマンも1年間、手がけたということですが、
当時と現在とではどんな変化がありますか。

やはり大きいのは契約生産者が半減したことですね。
品種はトヨシロもありましたが、農林1号が結構多かったです。スノーデンやきたひめなどが加わり、品種の構成はだいぶ変わりました。病障害については打撲の発生に苦労し、業者と一緒に巻き上げシュートを開発したことを覚えています。ポテトハーベスターは進歩していますね。同じように農薬もいろんなものが使えるようになりました。当時はグリーンダイセンM水和剤が主体で、リドミルMZ水和剤が出始めのころでしたが、いまや格段にレベルが上がりましたね。貯蔵中の腐敗が本当に少なくなりました。

じゃがりこの開発者

じゃがりこの開発者の一人が中村さんだったということは知る人ぞ知る情報ですが、年間350億円を売り上げるまでになったヒット商品の開発秘話を教えてください。

入社当初はポテトチップ市場が伸びていました。その勢いが89年ごろから鈍化し、何か新しいことをしなければいけないという機運がカルビーグループで高まります。
ポテトチップ一本では原料規格の問題もありました。チップカラーが悪い(糖分が高い)ものや小玉は使えなかったんです。小玉は購入していませんでしたので、畑では山のように捨てられていました。折りに触れ、カルビー創業者でカルビーポテトの初代社長でもある松尾孝はこんなことを言っていました。
「畑で取れるジャガイモはすべて活用できるような会社にならないといけない」
松尾も現状を看過せずに手は打っており、マッシュポテトのラインを工場に持っていました。ただ、なかなか付加価値が上がりません。そこで企画したのが原料サイドの当社発のじゃがりこです。これなら糖分の高いものでも小玉でも大玉でも活用できます。

貴社の相談役の佐久間竹美さんもかかわっていたんですよね。

はい。我々は商品開発に関しては素人です。コロッケのようなものをスナックにできないか、フレンチフライを成型して作れないかというところからじゃがりこは生まれました。まっさらなキャンバスでスナックを開発したのがよかったんだと思います。
今回の社長就任にあたっては、カルビーの創業理念をしっかり守っていくことを念頭に置きました。

カルビーの創業理念を
しっかり守る

創業理念とはなんですか。

・未利用資源の有効活用
・農工一体の精神
・生涯一人一研究

この3つです。じゃがりこは未利用資源の有効活用という発想がないと出てきません。農工一体の精神については当社のロゴマークに表れています。農業の手と我々工業の手とが一体になって育んでいくことをイメージしています。こういった創業理念を踏み外してはいけませんので、従業員とのコミュニケーションでは最初にここから始めました。カルビーグループのなかでも創業理念に思い入れのある人は私くらいかもしれません。
仕事に対する姿勢は三方よしの精神で使命を果たすことを規範に掲げました。世のため、人のため、自分のためというものです。従業員には創業理念とこの三方よしの精神をまず認識してもらいました。

貴社はこれからどんな方向に展開していくんでしょうか。

当社は2080年で創業100周年を迎えます。そのときに売上高が1兆円、営業利益は1,500億円を目指します。
昨年度は売上高が251億円でしたので、4年後の20年には350億円くらいを目標にしたいと思います。ジャガイモの調達量は35万tで考えています。
我々のビジョンは、世界一のポテトカンパニーになることです。日本のジャガイモ産業を改革するのが使命になります。契約生産者も世界一の生産者にします。これは産地の人たちとの共通の使命です。
一方で、国民1人当たりの年間ジャガイモ消費量は15kgくらいにまで減っています。それだけジャガイモが魅力的な品目でないということです。工場や営業部門ではジャガイモをもっと魅力的な商品にし、きちっと提供していかなければいけません。
売上高の1兆円とはアジア市場も視野に入れたものです。これは、商品の輸出というよりかは、品種や栽培技術を武器に進出していくことを考えています。中国やインドといった国々のジャガイモ産業の発展に貢献できることがあるでしょう。すでに諸外国が両国に入ってきていますが、アジアにはアジアのやり方があります。そこに我々の活路があると見ています。人と人とのつながりで信頼関係を結びながら、三方よしの精神で応えられたらと思います。

「世界一」という言葉がありましたが、その定義を教えてください。

米国では10a当たり10tの収量を挙げる生産者がいます。英国では工業製品と同じような労働生産性を農業で実現しています。こういった数字だけで捉えるのではなく、営農していることの誇りですとか、やりがい、知識やスキル、地位、利益といったトータルでの充実度を指標にしています。
海外の農業を見渡せばそこにはサポート体制があります。そのコーディネーターを我々が担います。1社では限りがありますので、研究機関や資機材メーカーとネットワークを組みながら体制を構築していきます。

何か構想はあるんでしょうか。

まだ完成に至っていませんが、コンセプトのビジュアル化を進めているところです。いくつか紹介しますと、ポテトリサーチセンターは馬鈴薯研究所がベースになり、新品種開発や栽培・貯蔵技術の開発と技術普及で、世界一となるジャガイモの品質やコスト、調達力を実現します。ポテトマーケティングセンターは、世界一の商品企画開発力と生産技術で、新たなジャガイモの価値を創造して需要の拡大に努めます。それ以外にも農作業体験ができるポテトドームや宿泊施設も兼ねたポテトヴィレッジなどを検討しています。

契約生産者を
世界一にするための
5つの施策

契約生産者を世界一にするという話もありました。
そのためにどんなことを実施していくんでしょうか。

全部で5つあります。
・夢の新品種の普及の拡大
・毎年豊作を実現できる栽培技術の開発・普及
・ストレスを感じない作業体系の実現
・相互に情報交換できるネットワークを作る
・新たに取引できる作物の開発

【夢の新品種の普及の拡大】

栽培で困っていることを解決する品種を提供していきます。
その第一弾として今年から「ぽろしり」の一般栽培が始まりました。この品種は、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性であることはもちろん、そうか病に強く、トヨシロより1割増収するとされています。とくに網走地方などでそうか病が原因で加工用の作付けをためらっている生産者に採用してもらえたらと思います。現在メインのトヨシロがジャガイモシストセンチュウ抵抗性品種ではありませんので、我々が扱う品種はすべて抵抗性に変えていく方針で進めていきます。
再来年には「ゆきふたば」という品種の一般栽培が予定されているほか、その次にも品種名は未定ながら打撲に強いものを準備しています。打撲耐性の品種は収穫の省力化を実現するためのものです。打撲に強い品種を出していかないと、2畦ポテトハーベスターもなかなか導入されないと思います。

【毎年豊作を実現できる栽培技術の開発・普及】

すでにマグネシウムの葉面散布やカルシウムの施肥は契約生産者に提案しています。施肥は元肥で終わりではなく、茎葉を観察しながら追肥する方向で動いています。激しさを増す気象変動を見越して手段を講じ、豊凶の差をできるだけ小さくしていきます。ジャガイモを、契約生産者にとって安定的で当てになる作物にしていきたいです。

【ストレスを感じない作業体系の実現】

ジャガイモは手間のかかる作物です。これを小麦や大豆並みに省力化したいです。 当社でも受託作業を行なっていますが、いまの作業体系がいつ陳腐化するのかわかりません。これまで短期的な取り組みに終始していた感がありました。これからは5年後とか10年後の日本農業をどうするのか、ジャガイモづくりをどうするのかといった観点から判断していきます。我々が畑から貯蔵庫までの運搬に用いているピート車(けん引式セルフアンローダー)も別の方法があるかも しれません。現在はジャガイモ、小麦、ビートと別々な運び方をしていますが、共通のインフラを整備することで関係者にメリットが出ると考えられます。そういったことも提案していきたいです。

【相互に情報交換できるネットワークを作る】

今後、個々の経営体が大きくなったときのケアを考える必要があります。日本では各経営体がすべてのことをやろうとしますが、規模拡大が進めば限界はありますし、過剰投資に陥ります。そこで、我々が適切なアドバイスやサポートをしていく中心的な存在になれれば、長い付き合いができるのではないかと思っています。

【新たに取引できる作物の開発】

当社の新商品に「ぽてコタン」があります。原料には北海道産のタマネギも使っていますが、たとえばこのような他作物でも取引できれば生産者にとっても我々にとってもいいことだと思います。生産者はいろんなものを作っています。ジャガイモだけではなく、取引できるものがあればそれも取引していきたいです。契約生産者が作ったものであれば商品がより魅力的になります。 こういったことをしていかないと世界一にはたどり着けないと考えています。

契約生産者を世界一にするための施策ははっきりしているんですね。

はい。これら5つのことをいきなり全部となると大変ですので、ここ3年くらいは3つのことを重点的に取り組みます。
まずは契約生産者にもうけてもらうことです。10a当たりの収入が北海道で15万円、府県では25万円を目標にやっていけたらと思います。ジャガイモが永続的に稼げる作物でありたいですが、輪作体系は崩さずに適正な面積で作ってほしいです。
残る2つの品種と省力化は先ほど話したとおりです。品種で解決できることは品種で解決していきます。

未契約産地を
取り込みたい

20年に35万tの調達量を目指すという話もありましたが、増反活動をしながら輪作体系は崩さずとなりますと、新規産地の必要性が生じると思います。その点はどう考えていますでしょうか。

いまは取引していない産地を取り込みたいと思っています。その際、長い目で見た付き合いをしなければいけません。小さな単位での契約栽培から始めてもらい、手応えをつかんだら増やしていく。将来ビジョンを生産者や農協と描いたなかでやっていかないと失敗します。反対にそれが我々の強みでもあります。単年度ではなく、日本農業を深く考えている会社です。この産地ならこうしたほうがいいということも提案できます。
たとえば、収穫をどうすればいいのかと検討する場合、最初は我々が出向いて2畦ポテトハーベスターのデモも必要でしょう。ただ、最終的には産地が自立できなければいけません。いつまでもこちらがデモしたり、作業受託しては長続きしないでしょう。契約生産者には強くなってもらいたいんです。依存体質になってきますと力関係で企業が強くなってしまいます。
もう一つ、我々にはインセンティブという報奨金を支給するシステムがあります。これは、同じ内容のものが継続するのではなく、あくまで何かに誘導するための手段として使ってきました。たとえば、新品種や新技術を普及させるため、マインドを変えるためといろいろです。我々がこういうことを望んでいるということをお金も出しながら理解してもらうのは大事なことでしょう。以前は品質を向上させるためにかなりのインセンティブを支払いました。農業は急に変えるのは難しいですので、これからもインセンティブを使ってあるべき方向に一緒に歩んでいきたいと思います。

府県こそ長期的な
視点に立つべき

府県の産地についてもコメントをお願いします。

府県も北海道と基本的に同じです。とくにということでいくつか述べますと、今後も夏場は府県産を使っていきます。問題は品種の転換と収穫の省力化ですね。品種ではチップカラーや軟腐病がネックになり、オホーツクチップやアンドーバーも採用するようになりました。北海道と同じように収穫の省力化も革新していかないといけないでしょう。府県こそ長期的な視点に立ってやらなければいけません。

世界一の
ポテトカンパニー
になる

最後に、契約生産者へのメッセージを聞かせてください。

当社が設立されて今年で36年目になります。この間、契約農家での世代交代もあったでしょう。途中から契約生産者になった人もいると思います。創業のときにみなさんに伝えたことが忘れ去られていると感じまして、目指すべき方向性とともに説明しました。
我々は本気で世界一のポテトカンパニーになるべく邁進します。契約生産者のみなさんにも同じ舞台に立ってほしいと願っています。そのためのサポートは惜しみません。お互いに世界一となれるようこれからも力を合わせて頑張っていきましょう。

ポテカル新規ウィンドウで開きます No.107 2016年10月

発行:株式会社農業技術通信社新規ウィンドウで開きます