ポテトの秘密
突然変異から生まれたラセット・バーバンク
生き物の世界には「突然変異」という現象があります。遺伝子レベルで変化が生じ、ほかの大多数の種と違った形や性質を持つことです。野菜の場合、その突然変異体の味や食感が優れていると、それを新たな品種として栽培することがあります。たとえば、カリフラワーはブロッコリーが突然変異したものです。

ジャガイモにもこうした例があります。フレンチフライに使われるラセット・バーバンクという品種は、もともとは1875年に米国の種苗家、ルーサー・バーバンクが開発したバーバンク種の突然変異です。

ルーサー・バーバンクは多くの植物の品種改良を行なった人物として知られています。小学校程度の教育しか受けていませんでしたが、少年のころにダーウィンの『種の起源』を読んだことから育種に関心を寄せました。

当時はジャガイモを増やすには種イモからと考えられていましたが、ルーサー・バーバンクはあるとき、南米から導入されたアーリーローズに実がなっているのを発見し、その種を23粒植えてみました。「それぞれの植物は無数のバリエーションを含む」というダーウィンの考え方を確かめようとしたのです。

23粒のうち発芽したのは2つだけでした。しかし、そのうちの1つは皮が薄く、肉色の白い、大きなものでした。バーバンクは、これに自分の名前をつけ、「バーバンク」種として登録したのです。

それから40年ほど経った1910年代、コロラド州の農民がこのバーバンク種を栽培していたところ、褐色の皮をした突然変異体が登場しました。皮がざらざらしていた(ラセット)ことから、ラセット・バーバンクと名づけられました。

ラセット・バーバンクは、バーバンクの特徴を継いだ扁平で、横長のジャガイモです。フレンチフライのような長いスティックにするのに向いていることから、アイダホ州を中心に生産が増え、いまでは米国の全ジャガイモ畑の4割を占めるほどになっています。
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